【内容紹介・目次・著者略歴】
東洋法史論集の第4巻。シベリア、モンゴルの法律体系を探究する。狩猟民と遊牧民の作りだした法律にはどんな特徴があるのか。
第一章 北方ユーラシア法系への関心 自然の環境 II 人と生活 III 人と神々 IV 血とことば V 政治のかたち VI 法のすがた VII 「北方ユーラシア法系」の樹立を求めて
第二章 方法の摸索
第三章 法制史料
I 一三世紀以前の史料 II チンギス=ハンのヤサ III オイラートの法典 IV 韃靼の法制史料 V ハルハの法典 VI 清朝の蒙古例 VII シベリア原住民族慣習法集成とボグド=ゲゲン・フトクトの法典 VIII リアザノフスキーの業績
第四章 婚姻
I 前言 II モンゴル以前の諸民族の婚俗 III モンゴル族の婚俗 IV モンゴル諸法典における婚姻関係諸規定 V 清朝の蒙古例における婚姻関係諸規定
第五章 家族
I 家族の構成と機能 II 諸成員の帳幕内の座席およびその家族内の分業 III 妻の地位
第六章 家の継続
I 子の地位 II 烏桓の場合 III 契丹の場合 IV モンゴルの湯合 V 実態調査による類推
第七章 狩猟の慣習
I 遊牧民の狩猟 II 集団的狩猟 III 集団的狩猟の慣習 IV 個人的狩猟とその慣習 V 狩猟地の慣習 VI 共有と私有
〔附〕 狩猟儀礼
I 戦闘と狩猟と II 弓を射て行なう儀礼 III 占いによる儀礼 IV 狩猟と狩猟儀礼との分化
第八章 牧畜の慣習
I 遊牧民における牧畜 II 家畜保有の慣習 III 家畜保有の慣習 IV 牧地の慣習
第九章 刑法
I 先学の業績と本章問題の所在 II モンゴル法における犯罪の種類・成立・態様による刑罰の相違 III モンゴル法における犯罪の種類・成立・態様 IV 図表から推知される事賓闊係と仁井田・論文との懸隔 V 図表から推知される事実関係と仁井田・論文との懸隔 VI 総括的私見
第十章 損害賠償責任の変遷
I 問題の所在 II ヤサの場合 III オイラート法典の場合 IV ハルハ=ジロムの場合 V シベリア原住民慣習法集成の場合 附篇
第十一章 烏桓の慣習
I 問題の所在 II 烏桓における政治的権威の生成 III 王沈魏書の伝える烏桓の慣習についての私見 IV 「約法」の意味
第十二章 明代韃靼の慣習
I 北虜風俗の史料的価値 II 北限風俗の法制史料 III 純括的私見
第十三章 満洲と台湾──二つの漢人移住植民地における仲間意識の差異
I 漢人の満洲移住と開墾 II 漢人の臺湾移住と開墾 III 両者における仲問意識の差異
史料と参考文獣
島田 正郎
1915~2009年。東洋史学者、法制史学者。東京帝国大学文学部東洋史学科卒業。元明治大学総長。法学博士(明治大学・論文博士)。
著書に、『東洋法史要』『遼代社会史研究』『世界史要』『遼制の研究』『祖州城 東蒙古モンチョックアゴラに存する遼代古城址の考古学的歴史学的発掘調査報告』『遼の社会と文化』『東洋の法の歴史』『世界史』『アジア 歴史と法』『東洋法史』『遼制之研究』『遼史』『遼朝官制の研究』『遼朝史の研究』『清末における近代的法典の編纂』『北方ユーラシア法系の研究』『清朝蒙古例の研究』『明末清初モンゴル法の研究』『清朝蒙古例の実効性の研究 東洋法史論集第7』『契丹国 遊牧の民キタイの王朝』『北方ユーラシア法系通史』『西夏法典初探 東洋法史論集 第8』などがある。