石川豊太は、いよいよ東京に出て来た。欲の修羅場への挑戦である。法律事務所にもぐりこみ、経済界の裏街道を泳ぎわたる術をとっくり勉強した豊太は、事務所を飛び出すと、あの手この手で小金をつかみ、陣笠不動産会社を設立した。これから後は、とんとん拍子に事は運び、豊太の夢は、ついに「日本一の不動産会社」にまで膨らんだ。もちろん、酒と女も怠りはなく、女にモテモテ、金にもモテモテ、幸運の星は加速度に光を増した。しかし、その豊太にも、たった一つもの足りないものがあった。それは……。豊太の立志伝、完結篇! <上下巻>