こぐまのジローくん、きつねのネネちゃん、たぬきのタントンくん、みんな、うさぎのマリーさんがつくってくれるキラキラ輝くフルーツのデザートが大好き。でもある日、みんながいつものようにフルーツパーラーへ行くと、「しばらくおやすみします」という張り紙が。こんなことははじめてです、マリーさんにいったいなにがあったのでしょうか……。うさぎのマリーさんと森のどうぶつの子どもたちの心温まる物語。
優しい詩のような言葉で紡がれたお話と、”カラーインクの魔術師”永田萠氏の繊細で美しい挿絵のコラボレーション。
(総ルビ、すべての見開きに挿絵入り)
─まるで、お日さまのかけらみたいな、オレンジとパイナップル。
バナナは、みかづき。
さくらんぼうは、赤と黄いろのお星さま。
きらきらフルーツのまんなかには、まっ白な雲のソフトクリームがもくもく。
どこから、なにから、たべたらいいのやら。
スプーンとフォークを手にしたみんなは、うっとりしています。
たべるのがもったいないような、見ているだけでうきうきしてくる、きらきらフルーツのほうせきばこです。
「さあ、めしあがれ」
マリーさんはやさしく、こえをかけました。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
ひとくちたべると、こぐまのジローくんの顔は、お日さまみたいににっこり。
ひとくちたべると、きつねのネネちゃんのほっぺは、まんまるいお月さまに。
ひとくちたべると、たぬきのタントンくんのひとみは、お星さまみたいにきらり。
─本文より。
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