江戸南町奉行・矢部駿河守が、老中・水野越前守の懐刀・鳥居耀三の奸策で、奉行職を罷免された天保12年の暮、御側御用人・堀大和守の公用人・黒川内記と結ぶ豪商・佐原屋九郎兵衛の毒牙をのがれたお美也を救った大川忠介が、極道ぞろいのはだか長屋に住んだことから、剣難女難の絵巻となる。忠介に助けられた鉄火姐御・お照と材木問屋の女主人・お杉の恋の鞘当てと、佐原屋配下の町道場の殺し屋剣客たちの物凄さ。世に謂う水野の天保改革を背景に、矢部直系の隠密をやめた一介の素浪人に対する鳥居新奉行の執拗な探索と、これに敢然と正義の戦いを挑む大川忠介の虚々実々のかけひき……。<全8巻>