――――あなたには、“本当に忘れたい記憶”はありますか?――――
上野駅の幻の18番線には、乗客の記憶を一つだけ消してくれる列車が停まっている。
秘密のホームへの扉の鍵を手にした4人の男女が忘却を願うのは、大好きなはずのピアノ、事故で死んだ最愛の息子、人生で最悪のクリスマスイブ、そして幼い頃犯した罪。
忘れられるものなら忘れたい――でも、本当に?
自分の過去と向き合うため、彼らは謎めいた車掌と不思議な生き物・テオと共に旅に出る。
『塀の中の美容室』の桜井美奈が描く、4人の人生を紡いだ感動の連作短編集。