第5回集英社みらい文庫大賞優秀賞受賞し、デビュー以来人気シリーズを連発中の神戸遥真氏による、アルバイト×恋愛青春小説、第三巻!
目次
プロローグ
1.やらせてください!
2.一緒に探しましょう。
3.これまで、ありがとうございました!
4.すぐに相談してください。
5.申し訳ありませんでした!
6.これからも、よろしくお願いします!
1 7 エピローグ
どうせ予定も何もない夏休み、何か新しいことをやってみよう、くらいのつもりで始めたアルバイト。
最初は挨拶一つろくにできなくてどうしようもなかったけど、色んな人と知り合って、仲よくなって、次第にできることも増えてきた。
家と学校しかなかった私に、新しい居場所とやれることができた。
それから、好きな人もできた。
私に仕事を教えてくれて、色々相談にも乗ってくれた源(みなもと)くん。
知り合った当初はものすごい塩対応だったし、今でも何かとぶっきらぼうだけど、とってもまじめで、本当はすごく優しい人。
そんな源くんとアルバイトで会えて、一緒に仕事ができるだけで私は十分幸せだった。
けど。──中略──こっそり想ってるだけで何もできなかった私は、先を越されても文句は言えない。
そして時を同じくして私の方はというと、アルバイトの先輩、隼(はや)人(と)さんにデートに誘われた。
――一緒に舞台、観に行ってくれませんか?
大学生の隼人さんは私が演劇に興味を持ち、そしてアルバイトをすることになったきっかけを作った人。それから、女子にすごくモテる人でもある。
何かの冗談じゃないかと思ったけど、これもどうやら本気っぽくて、もうどうしたらいいのか全然わからない。
おまけに、隼人さんは通りがかった源くんにこんなことを言った。
――俺、優芽ちゃんのことデートに誘いたいんだけど。かまわないよね?
本文より。