感情が昂ぶると、最悪、死に至る病――『感情性自己免疫疾患』。
そう診断されて以来、僕にとって、感情なんて無価値なものだ。
喜び、怒り、哀しみ、楽しみ――どんな感情も、僕を蝕む存在。
だから僕は、感情を持たない。誰のことも、好きにならない。
そんな僕に向かって、クラスメートの奈々川恵実さんが言い放つ。
「――私は、四東くんのことが好きっ!!」
僕が誰かを好きになるなんて、あり得ないはずだったんだ。
だって誰かを好きになったら、僕は命を落としてしまうのだから。
だけど芽生えていく自分の感情を、止めることはできなくて……。
これは、感情を持たない僕と、感情豊かな彼女の物語。