◆内戦の続くレベリアで活動するジャーナリストのリリーは、絶望に打ちのめされながら一人の男性と対峙していた。「僕と一緒に来てほしい」医師である最愛の恋人ロバートの表情は真剣そのものだ。戦闘の勃発で、すべての外国人に国外退去命令が出ている。もう一刻の猶予もない。ロンドン行き最終便の出発まであとわずかだ。だが、リリーの心は決まっていた。この国を離れるわけにはいかないわ。目的を果たすまでは、絶対に。リリーは悲しみを押し殺して、窓辺でロバートを見送った。次の瞬間、閃光と轟音とともに恋人は彼女の目の前から消え去った。