好きな人に手は届きそうにない。私の春は、いつ訪れるの……?
両親と船旅に出た白血病の少女につき添う看護師のフィリダ。途中で少女の病状が悪化し、一緒に下船せざるをえなくなるが、言葉も通じない土地で重病患者を独り抱え、フィリダは途方に暮れた。そこへ、同じホテルに滞在するオランダ人医師、ピーテル・ファン・シッタートが現れ、少女を診察して病院へ送った。悲しいことに、少女がそのまま静かに息を引き取ってしまうと、その後のこともピーテルが何くれとなく手配してくれた。なんて頼れる人なの。もう会うこともないのだろうけれど……。だが、患者を亡くした無念さと見知らぬ土地にいる心細さで、彼女が涙しかけたとき、ピーテルが言った。「肩を貸してあげようか」
■ハンサムなピーテルの申し出に、フィリダはたまらず小さくしゃくり上げてしまいます。もう大丈夫と強がってはみたものの、少女が亡くなったことでつき添いの仕事は終わり、帰国するお金も宿泊費も手元になくて……。切ない傑作シンデレラ・ストーリーです!