◆働き者のシンデレラの姿を、静かに見つめるまなざし……。
エマは口うるさい有閑夫人の付き添い兼秘書として働き、わずかな給金と母の年金を頼りにつましく暮らしている。ある日、雇い主である夫人が体の不調を訴え、かかりつけ医の代理でサー・ポール・ワイアット医師が往診に来た。彼は他の医師と違い、夫人のわがままに振り回されることなく、健康状態に問題がないと見るや颯爽と帰っていった。それ以来、エマの心はポールのことでいっぱいになった――たまたまやってきた彼には、もう会うこともないと思いながら。ところが数日後、母娘で遠出中に母が病に倒れ、どうしたらいいかわからずうろたえるエマの前に、ポールが現れた!
■けなげなヒロインを数多く生んだB・ニールズ。なかでも本作は涙なくして読めないシンデレラストーリーです。母の看病をしながら泣き疲れて眠るエマにそっと毛布をかけ、ほつれた髪を静かに撫でてやるポール。年上で大人な彼のさりげない優しさに心打たれます。