◆恋という名のスパイスは、想いを届けるたったひとつの手段。◆夕暮れの田舎道で、フロリナは高級車に乗った父娘と出会った。背が高くハンサムな男性と、かわいらしい女の子。それからひと月後、父娘は村の屋敷を買い取り、引っ越してきた。病気あがりの父をかかえて生活に追われているフロリナはコックの腕を買われ、その屋敷で働くことになる。週末を田舎でのんびりと過ごす小児科医の主人、サー・ウィリアムのために心をこめて食事をつくる――それが彼女のささやかな喜びになった。雇い主の彼から見れば、フロリナはただのコックにすぎないし、彼は再婚相手も決まっていたのだけれど。■美人で意地悪な婚約者を前にして、フロリナは初めての恋をそっと胸にしまうのでした。けなげに料理を振る舞うヒロインの姿が印象的な、ベティが1987年に上梓した貴重な作品です。