さっと読めるミニ書籍です(文章量20,000文字以上 24,000文字未満(20分で読めるシリーズ))
【書籍説明】
父上 様
前略
ご無沙汰しています。如何、お過ごしでしょうか?
父の日と父上を頭の中で重ねながら、パソコンに向かいこの手紙を書いています。
冒頭から「高齢者、高齢者と連呼するな!」とお叱りを覚悟の上ですが、テレビやネットのニュースで「高齢者が関係する交通事故」が目に留まり心配が絶えません。
毎日のように全国各地から悲惨なニュースが報道されています。
「ハンドル操作ミス」や「ブレーキとアクセルの踏み違い」、さらに「前方不注意」など、「高齢者」を示す代名詞やキーワードとして紙面を馴染ませてしまっています。
高齢者による事故は、運転時だけに留まらず、歩行中、特に道路横断時にも多く発生しています。
私にとっても他人事ではなく、極めて身近にその可能性を秘めた父上という「高齢者」が存在します。苦笑。
冗談はさて置きまして、偉そうな口を開く私も50代となりました。
未だまだ若いと安心してはおれず、明日は我が身だと感じ始めており、切実な危機感として、そして生々しい課題として、意識するようになって来ました。
ですから、自身の経験や振る舞いも振り返りながら、父上に念のための確認の意味を含めて、事故なく安全に、日々をお過ごしいただきたいという思いを込め、この手紙を書かせていただきました。
「余計な心配をしなくてもよい!」と突き返されてしまいそうですが、少々長丁場となりそうです。
辛抱を切らさずに最後までお目通しをいただければ嬉しい限りです。
頑固で意固地な性格は父上譲りです。
一度思ったら言わずにはいられないところを、どうかご容赦いただきたく、お願いいたします。