説明文
さっと読めるミニ書籍です(文章量15,000文字以上 20,000文字未満(20分で読めるシリーズ))
【書籍説明】
商社の起源は坂本龍馬の「亀山社中」とも小栗上野介の「兵庫商社」とも言われている。
前作では、その思いを継いだトーマス・グラバー、三野村利左衛門、岩崎弥太郎を加えて、5人のパワーあふれるメッセージを見てきたが、
今回もやはり前作と同じスタイルで、商社の起源に関わる更なる5人の実業家のメッセージを見る。
更なる5人とは、三野村の声掛けで三井物産の社長として迎えられるも、三野村から「三井の看板は貸すが、経営資金はびた一文出さぬ」と継子扱いされる「益田孝」。
維新の動乱期に武器の輸入販売で台頭し、財閥を形成するも、「忘れられた人」となる「大倉喜八郎」。
丁稚から身を起こし、やがて鈴木商店の大番頭になると、会社を日本一の年商を誇る巨大商社に育て上げ、倒産すると借家住まいが判明するという日本経済の怪物「金子直吉」。
伊藤忠商事と丸紅の実質的創業者でありながら、日本一の借金王になり、庭石まで売却して再建に取り組む2代目「伊藤忠兵衛」。
商社活動による利益を「浮利(目先の利益)」と戒め、商社活動御法度の流れを築いた「住友政友」
今回登場する5人のほとんどは幕末に生を受け、維新を経て商社で活躍する人たちである。
前作の5人、そして今回の5人に共通することがある。
それは何か。
それはビジネスおよび人生には必ずチャンスも来るが、危機も来ることである。
そしてその危機に勇気を持って挑戦したことが共通点である。
大倉のこういう句がある。
「知恵比べ 努力比べの今の世に 欲しきは人の勇気なりけり」
5人の危機に対処する勇気はどのようなものであったか。
現代は幕末に酷似しているという声がある。
国家の財政赤字、海外からの自由化圧力、攘夷にも似た排他主義の興隆、金融緩和によるインフレなどの酷似である。
そうなのかもしれない。
これからの日本は、新たな仕組みや制度に対応できない旧来型の企業や人材が、淘汰されてゆく時代なのかもしれない。
そうだとすればこのようなときこそ、幕末明治の実業家たちのメッセージが意味をもって輝いてくるに違いない。
わくわくする気持ちで第2弾幕末商社考を始めることとしよう。