さっと読めるミニ書籍です(文章量14,000文字以上 15,000文字未満(20分で読めるシリーズ)=紙の書籍の28ページ程度)
【書籍説明】
この際、はっきりさせておこう。
特定の集団が人間嫌いであるわけではない。
多かれ少なかれ人間は、人間嫌いの病巣を内に抱えているのである。
人間はともかく生きにくい。苦しい。どうにもならぬほど窮屈で不愉快だ。
人間嫌いの正体は「人生嫌い」すなわち厭世感でもあるのだ。
誰もが化粧を落として裸になれば「人間嫌い」の暗部を露出する。
この小著は、人間嫌いを自認する著者による混沌たる真情吐露である。
どうして他人を心底から信頼できないのか、どうして世間の馴れ合いに堪えられないのか、これらの個人的問題にエッセイ風の分析を加えつつ、
人間嫌いを人間嫌いたらしめている核心部分に肉薄してみたい。
さしあたり断っておく。本書は人間嫌いの治癒を目的としているものではない。
むしろそんな迎合的な試みは諦めろ、という風な本である。
私は人間嫌いをひとつの時代病として診断しているのだが、人間嫌いの重篤な個々人が周囲に溶け込んでいくことよりも、
その特性を深化させて燃え尽きるほうが断然よいと考えている。
その点で本書は、人間嫌いの人間嫌いによる人間嫌いのための檄文、という色彩が濃いものだろう。
【著者紹介】
佐野佐清(サノサセイ)
一九八八年石川県に生まれる。
大学時代に「人生」を脱線し、ウツや強迫神経症を抱えながらも哲学と文学に耽溺。
現在は、英国のトマス・カーライルのような著述家を志すため、読書と文章修行に専念… 以上まえがきより抜粋