さっと読めるミニ書籍です(文章量24000文字以上 32,000文字未満(30分で読めるシリーズ))
【書籍説明】
おや? こんな時間に訪問者とはめずらしい。
さあ、中へお入りなさい。外はもう極寒でしょうに。ほら、扉を閉めてストーブの近くへ。
あなた見たところ巡礼者のようですが、いったいどうしてこんな時間にここへ?
……まさか、町へ出る汽車に乗るおつもりだったのですか?
……そうですか、図星ですか。残念ですが、今日の最終の汽車はすでに発ってしまいました。次に汽車がここにやって来るのは、夜が明けてからになってしまいます。
……歩いて山を下りる方法ですか? ほっほっほ、なかなかに元気なお方ですなぁ。
ですがやめておきなさい。外は雪をも凍る極寒です。人間の身体では耐えることはできません。
それに、この山は夜が深まると魔物や怨霊が出没します。あれらは寒さよりも厄介だ。憑かれたら最後、人間に戻ることはできません。
悪いことは言いません。ここで始発の汽車を待ちなさい。心配せずとも夜が明ければ汽車はやってきますから。
そうだ、あなたの退屈しのぎに私がいくつか面白い話をして差し上げましょう。じじいの話なぞ耳障りに聞こえるかもしれませんが、暇つぶし程度にはなるかと思います。
【目次】
九時(夜明けまで九時間)
零時(夜明けまで六時間)
惨時(夜明けまで三時間)
【著者紹介】
壇希(ダンキ)
関西在住のオカルトライター
怪談、伝承、妖怪話など、あらゆるオカルトな話題を収集中