◆ナイトクラブでひとり鬱々とグラスを傾けるファーガスの前に、華奢で黒髪の、青い瞳をしたとびきりの美女が現れた。彼女はクロエと名乗り、強引にファーガスの向かいに座りこんだ。彼が売れっ子作家であることをなぜか知っていて、さりげなく質問を投げかけてくる。作家の追っかけか?それともレポーターか何かか?あやしむうちに酔いがまわったファーガスは、不覚にもクロエに支えられて帰途につき、記憶はとぎれた。翌朝、自分の部屋で目覚めて仰天した。彼のシャツをはおったクロエが、コーヒーを持って傍らにいる。昨夜はどうやらベッドをともにしたらしい。ところが、ファーガスは何ひとつ覚えておらず、内心うろたえるばかりだった。★長年のキャリアを誇る人気作家キャロル・モーティマーが描く『魅惑の独身貴族』は、リッチで魅力的な従兄弟同士の三人が主人公をつとめている連作です。★