まえがきより
人間の価値とは、何によって決まるのだろうか。
仕事ができて優秀だと讃えられる人物がいれば、その人の価値が高い気がするだろう。
突出した芸術的な才能を直視したり、話をしていてその思慮深さや聡明さに驚いたりした経験があれば、その人の価値が高いように感じることもあるだろう。
だが人間の価値は一元的ではない。様々な視点から、相対的に値打ちがつけられるものだ。
AさんからBさんに対する評価と、CさんからBさんに対する評価が異なるのは自明だ。
本著では主に、「企業視点・営利視点」で見たときの人間の価値を高める思考法を紹介したい。
勿論関係が全くないとも言えないが、これは必ずしも、当人の思慮や知見を深めるためのものと相容れるとは限らない。
だから、たとえば「人間的な深みがある」などといわれるためのものではなく、「仕事ができる」といわれるための思考法であるということをあらかじめ注意喚起しておく。
本著で提案したいのは「ボーダーラインの決定」と「思考実験・ケーススタディの繰り返し」である。
「ボーダーライン」というのは事業や場面によって様々だ。
「失敗とみなすライン」や、「再チャレンジするべきライン」など、結果を見極めるときにどこを・なにを判断基準にするか先に決定することである。
これは思考に論理性を与える。つまりロジカル・シンキングを生み出すための手段だと考えていただきたい。
そして「思考実験・ケーススタディの繰り返し」は、思考に幅や多様性を与えるための手段だ。
これは実践の具体例を交えて後の章で詳しくお伝えする。
人間の価値を決める要素のうち大きな割合を占めるのは、こ… 以上まえがきより抜粋