◆親友のグレイスが双子を出産することになり、手助けのためにクレアはイタリアに来た。グレイスの夫ドナートが空港に出迎えてくれるはずだったのに、現れたのはドナートの義弟で、目がくらみそうなほどにハンサムな、精悍で苦みばしった男性ロマーノだった。ロマーノは初対面から皮肉っぽい言葉や態度でクレアをいら立たせた。なんという高慢な人なのかしら。どきどきするわたしがおかしいのよ。その後、ロマーノを知れば知るほど、彼ほど危険な男性はいないことがはっきりしてきた。彼は断言している―愛など幻想だ。絵空事にすぎないんだよ。きっと、亡くなった美しい妻を忘れられずに、心を閉ざしているのだ。こんな人を愛しては絶対にだめ。クレアはよくわかっていたのだが…。