◆二人は恋人同士になるしかなかった。互いにも言えない、秘密のために。◆スペインのダ・シルヴァ城で、レキシーは厩舎に忍びこんでいた。すると突然、黒い馬に乗った男性があらわれ、ひらりと降りたった。乱れたダークブロンドの髪、盛りあがった筋肉、美しい緑色の目。その美貌にぼうっとするあまり、男性に唇を奪われ、厩舎に押し倒される寸前だというのに、彼女は抵抗するのも忘れていた――パパラッチに二人の写真を撮られるまでは。男性は城の主にして世界的な実業家、セサルだったのだ。レキシーは吐き気を覚えた。きっとタブロイド紙が大喜びする。不倫騒動に巻きこまれたばかりで、また無鉄砲なまねをするなんて。私は傷物。誰にも知られてはいけない暗い過去を持つ女なのに……。■アビー・グリーン初のミニシリーズ、最終話です。長男セサルは、結婚で幸せになった弟たちを目の当たりにし、いっそう憂鬱を深めます。そんな彼の前に現れたのは、絶世の美女レキシー。彼女こそセサルを絶望の淵に突き落とす、運命の女だったのです!