◆家名の檻から逃げた先は、“シークの妻”という名の籠の中。◆一族の恥ずべき秘密を知って打ちのめされたローザ・コレッティは、生まれて初めてナイトクラブに足を踏み入れ、お酒を飲んだ。酔いと絶望に朦朧とするなか、心臓は割れそうなほど強く打っている。なぜなら、見たこともないほどハンサムで威圧的な男性が、射抜くようなまなざしで、ローザをじっと見つめているから。それがクラルとの出会いだった。彼はローザを連れ帰り、酔った彼女の服を脱がせ、寝かしつけた。それ以上は触れぬまま。このミステリアスな男性は、とてもセクシーだけれど紳士なんだわ。翌朝、ローザはクラルに惹かれる気持ちをはっきりと感じた。従者らしき男が現れ、慌てた様子でクラルに告げるのを聞くまでは。「殿下、その娘と過ごしたことが知れたら、王が何と言うか……!」■クラルの正体はなんと砂漠の国のシーク……そしてローザはシチリア名家の一人娘。素性を知らぬまま惹かれ合った二人は図らずもスキャンダルに巻き込まれ、家名を守るための偽装結婚をすることに。作家競作8部作〈華麗なるシチリア〉もいよいよクライマックスへ!