ヒラリーはシカゴ行きの飛行機で隣り合わせた男性を見て目をみはった。彫りの深い顔立ち。ミステリアスな緑の瞳。なんてセクシーなの!思わず見とれた彼女はすぐに自分を戒めた。外見に騙されてはだめよ。誠実だと信じていた恋人に、裏切られたばかりでしょう?でも気のせいかしら。どこかで彼と会ったような気がする……。その夜参加したオークションで、謎はとけた。目玉商品として出品されたタキシード姿のゴージャスな男性の名は、“トロイ・ドノヴァン”。有名な億万長者だったのだ。彼は高額で“夢の週末デート権”を秘書に落札させたあと、自分がデートの相手を指名すると宣言した。歓声にわく客席に下りたトロイが、どんどん近づいてくる。まさか……?彼は瞳をきらめかせ、ヒラリーを見据えた。「デートの相手は、君だ」