モデルのサフィーは、偶然立ち寄ったマラバーン王国で、誘拐も同然に豪奢な砂漠のテントへと連れていかれた。一歩足を踏み入れたとたん、サフィーは衝撃で凍りついた。ザヒール! 5年前、妻である彼女に一方的に離婚を言い渡すと、理由も告げぬまま去っていった憎い夫。今や彼も国王となり、すでにあらたな妃を娶って──想像しただけで、サフィーの胸に思いがけない痛みが走った。だがザヒールは彼女の動揺などよそに、いきなりこう切りだした。「無理強いはしないが、君がほしい。その権利はあるはずだ」彼はまだ求めているの? ヴァージンのまま放りだした元妻を。