加賀百万石の留守居役・瀬能数馬が、各藩留守居役との駆け引きを描く好評の書下ろしシリーズは、第十六巻目。将軍綱吉にお目見えしたあとも、江戸に留まる加賀百万石の筆頭宿老・本多政長。神君家康の懐刀と言われた本多正信の血筋を引く重鎮が国許に戻らないことで、各藩の江戸にいる留守居役が加賀の若き留守居役の瀬能数馬に接触をしてくる。宿老不在の加賀では、越前福井松平家の国家老次席が訪れ、藩主の綱昌がかつて数馬に書かされた「詫び状」の返還を要求したのに対し、政長の息子である主殿は妙手を打つ。江戸の政長は再び綱吉から目通りを求められ、主殿の動きに呼応した対策を将軍にする。謁見後の政長に対して、紀州藩留守居役が、数馬の妻の琴姫を紀州藩家老の次男の正室に迎えたいというとんでもない話を持ちかけてきた。