美人コンテストで優勝したほどの美貌を持つクリスタルは、王家の子供たちの乳母(ナニー)としてエル・ザフィール王国を訪れた。不格好な眼鏡、だぼだぼな服、引っつめ髪で変装をして。なぜか“不美人であること”がナニーの絶対条件だったのだ。雇い主の第二王子ファリークはすぐに聡明な彼女を気に入り、クリスタルも美しく誠実な王子に心惹かれていく。しかし同時に、姿を偽っていることに心苦しさを覚えて、クリスタルは時機がきたら本当のことを話そうと決心する。変装など、たわいない偽りにすぎないと彼女は思っていた。王子がどんな嘘や偽りも許さないと知るまでは。■華やかな王子たちが紡ぎ出す、珠玉のロマンスを描いたミニシリーズ『アラビアン・プリンス』二作目をお届けします。