シカゴの街を一望する巨大ビル、マサード・タワーズの最上階。その豪奢な部屋でリーアは、最も恐ろしい男性と対峙していた。男の名はジョーイ・マサード。洗練された大富豪ながら時に見せる無情さは獅子にもたとえられる、街の実力者だ。三年前、彼にすべてを捧げたあげく裏切られたリーアは傷心のまま街から逃れて彼の子を産み、ひっそりと暮らしていた。だが真実を知ったジョーイが怒り狂い、子どもを奪ったのだ。リーアは我が子に会わせてと泣いて訴えたが、ジョーイは非情なまなざしを彼女に向け、取り引きを持ちかけた。僕とベッドをともにするなら、と。愛人になれというのね……。リーアはうなずくほかなかった。■『哀愁のシカゴ』では欲望渦巻く虚飾の街を舞台に幼なじみの三人のヒーローが大活躍。ホットなラブシーンも読み応え充分です。