シーク・バヒールはモンテカルロのカジノで負け続けていた。それもこれも、数日後、旧知のマリーナと再会し、トスカーナまで送り届けることになっているせいだ。4年前、二人は情熱的な数週間を過ごしたが、ふとした諍いで険悪な別れ方をしていた。そんな彼女に再び会い、また情熱をかき立てられるのはごめんなのだ。一方のマリーナも、彼との再会をためらう半面、あれ以来秘密にしてきたことを打ち明けられる機会だとも考えていた。こうして出発した飛行機は、悪天候のため途中で足止めをくい、二人はともにトルコの豪奢なホテルに1泊することになった。■砂漠の国のプリンセスたちの恋模様を描いた2部作の最終話です。誰にも言えない孤独を抱えて生きてきたシーク・バヒール。マリーナとの再会は、はたして彼に何をもたらすのでしょうか。