父の亡き後、父がしていた人形の顔描きという内職を引き継いだ、若き貧乏御家人・村上惣太。惣太に類いまれな画才があることを知った人形問屋「美人屋」の女将・千代は惣太に人形作りを依頼する。それは乳房や陰戸、陰毛まで生き写しに作った、殿方が観賞するための美女人形だった。女を知らず、たじろぐ惣太に、自ら全裸になり全てをさらけ出す千代。惣太は思わず淫気を高まらせ、めくるめく時を過ごしてしまう。かくして男となった惣太は、人形作りのため、茶屋の看板娘から武家娘まで、様々な女体を経験してゆき……。そんななか、等身大の抱き人形作りの着想をひらめいた惣太は、その製作に情熱とやり甲斐を抱いて邁進していくのだが……。傑作長編時代小説。