実話麻雀小説『小説・麻雀新選組』や半実名小説『麻雀狂時代』、数少ない貴重な競馬小説『厩舎情報』等を収録。
阿佐田哲也が小説ネタ作りのために企画し、1970年に実際に結成された「麻雀新選組」。
小島武夫、古川凱章といった正会員とかくれ隊員とで、ゆるく構成されたフーテン集団・新選組にまつわるエピソードの数々を
虚実織り交ぜて描かれた“実話麻雀小説”が、『小説・麻雀新選組』。
さらに、「麻雀新選組」関連エッセイとして「慣れぬことをした罰」、「ロマンと現実の間--小島武夫と古川凱章」の2篇を併録。
『麻雀狂時代』は、麻雀ブームに沸いた1970年代後半の“熱い時代”の様子をドキュメント風に伝えた半実名小説。
前半部では新人トーナメント戦「阿佐田哲也杯に挑む若者たちの苦闘ぶりが描かれ、後半部は現役プロ博徒・空野が競輪のノミ屋となる虚構の世界へ突入していく。
『厩舎情報』は、阿佐田哲也の小説の題材としては珍しく競馬のコーチ屋業に勤しむサブと顧客たちとの人間関係と、馬券の買い方のレクチャーが交差する作品。
1970年初頭の競馬状況を元に綴られているため、現在からみると中途半端な印象は免れないが、
巻末に収録された「中央競馬全調教師系統図」は12ページにも亘る力作で貴重な一品。解説は、作家の北上次郎氏、解題は、アンソロジスト・結城信孝氏が務める。