若き日の福永の苦悩の日々を綴った『戦後日記』『新生日記』に加え、晩年の画文集『玩草亭百花譜』と年譜等を収録した最終巻。
『福永武彦戦後日記』は2011年、没後32年を経て刊行され、1945年、46年、47年の日記が収録されている。
45年は終戦後、疎開先の帯広から職を求め上京する生活、46年は妻と息子の待つ帯広への帰郷と教職へ就くさま、47年は結核に侵され帯広療養所での病中日記が記されている。
翌年に刊行された『福永武彦新生日記』は、1949年と1951~53年の日記が収録されている。
49年は東京清瀬の療養所での病中日記であるともに、家族生活の崩壊の兆候が記され、51~53年の日記では、妻と協議離婚後の入院最後の病中日記。
両日記を通じ、福永作品読解のための様々な材料を見つけ出すことができる貴重な資料である。
『玩草亭百花譜』は全3巻からなり、1975年夏以降、亡くなる直前までに福永自身が描いた草花を中心に構成された画趣溢れる画文集。
他に単行本や全集に未収録のエッセイ、解説文、対談・座談などを収録。
附録として、自筆書庫図、初刊版『塔』印税支払い通知画像に加え、「福永武彦年譜」も掲載。