色川の個性的な“食美学”を綴ったエッセイ集『喰いたい邦題』、『三博四食五眠』に、書評、文庫解説等48篇。
食に関するエッセイ2冊と、「書評」「解説」「自作について」等を収録。『喰いたい邦題』の「あとがき」で「私のこれまでの五十年を通じて、一番印象に残っているのは、敗戦前後の飢餓時代に、たまに口にすることのできた銀シャリだった」と語るように、色川の“食美学”は、米とか、味噌とか、豆腐とか、日常茶飯の物をこそ吟味することにあった。
豪快無比な人生を味わい深く彩る食の数々の中で、色川が狂おしいほど愛していたのは「ふりかけ」であったというオチもついている。
『三博四食五眠』は単行本未収録だった、数々の「暴飲暴食の記」20篇を集め、2017年に発売されたアンソロジー集。 睡眠発作症(ナルコレプシー)に悩まされながらも、「呑む・打つ・喰う」の日々が描かれている。
その他、「書評」27篇、解説13篇、自作品について(受賞の言葉を含む)8篇も収録。親交が深かった吉行淳之介や小林信彦の作品解説、八木義徳や半村良といった少し意外な作家の作品書評も見受けられる。解説は、詩人で文芸評論家の荒川洋治氏。