ごく普通の人々の、ごく平凡な日常を、小さな棘がじわじわと蝕んでゆく、とめどない恐怖の物語集!
警視総監までもが頼りにする名探偵や悪の化身のごとき犯罪者、国を背負って戦うスーパーヒーロ-、誰もが目を奪われる美少年、天才的ジャズプレイヤー……などなど、「特別な人々」ばかりを書いてきた著者が「面白いのは『普通の人』を書けること」と語ったホラー小説集を一挙収録。敬愛するアガサ・クリスティの『春にして君を離れ』を思わせる『家』のほか、日常に潜む小さな棘が捕らえようのない恐怖をじわじわと引き寄せる長篇6作――『町』、『顔』、『壁』、『指』、『鬼』、『闇』と、短篇3作を集めた。また、別名義・城戸草太郎で書いた短篇「侏儒」は未発表作品で初公開。これは絶対見逃せない。
エッセイは、現代人が抱える孤独と混沌に迫った「最後の荒野」、「混沌コミュニケーションの世紀へ」、「孤独な脳の終身囚」の3本。また、夫として、担当編集者として、最も近くで栗本を支えた今岡清氏が初めて綴るエッセイ(連載)は、意外と数少なかった夫婦二人での旅行の思い出について。あわせて少女時代から晩年までの旅行先での貴重なスナップ写真を集めたミニアルバムを収録。実母・山田良子氏の日記から、栗本の誕生~大学入学までを記した「栗本薫の育児日記」(初公開)も大好評連載中。
※この作品にはカラー写真が含まれます。