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原爆の遺品と遺構を収録した写真集。
著者の江成常夫氏は、一貫して「戦争の昭和」に翻弄された人々の声を写真で代弁し、昭和に対する日本人の歴史認識を問い続けてきた。「原爆」はその中でも、大きなテーマである。
以前刊行した『ヒロシマ万象』は、広島の現在の写真と被爆者の体験記により、原爆で亡くなられた人々を視覚化しようとした作品集だった。
本書は、広島平和記念資料館と長崎原爆資料館の協力を得て、10年以上にわたり撮影してきた被爆者の遺品と、今も残る遺構を130点以上収録した。遺品には持ち主の被爆当時の様子や収拾の経緯など、解説を付けた。遺品のそれぞれには、持ち主への家族の思いが痛切に伝わってくる。
巻末には、椹木野衣氏の文章を掲載。また、写真解説には英文の抄訳も収録した。
原爆投下から74年。当時を知る生存者も少なくなっている。また、核兵器
廃絶の動きも容易には進展しない。
亡くなられた方々への鎮魂の思いを込めた写真と文章で、核兵器の恐ろしさと命の尊さを、未来へ伝える写真集。(2019年6月発表作品)
※この作品はカラーです。