定評ある自伝的随筆5作品を収録。付録は宮尾登美子を取材した、評伝の著者へインタビュー!
波乱万丈の人生を送った宮尾は、自身の人生を小説のモチーフとしただけでなく、随筆にも綴っている。『女のあしおと』には17歳で結婚して満州に渡り、苦難の末に引き揚げてきた体験、病苦、離婚、そして再婚後に上京など、自分が辿ってきた道程を語った「浮き沈み五十年」などが収録されている。『もう一つの出会い』は、儘ならない人生に七転八倒しながらも、文学への志を貫く中で出会った人々、折々の想いを書き留めた作品だ。一方、『地に伏して咲く』では少女時代からの半生に加え、宮尾作品についての背景や登場人物についても触れていて興味深い。『女のこよみ』は四季の移ろいの中での出会いと別れ、高知の農村で暮らした日々などが描かれる。『生きてゆく力』には、幼い頃に一緒に暮らした芸妓娼妓になるための幼女“仕込みっ子”たちの行く末などを、万感の想いを込めて書いている。
付録では、評伝『宮尾登美子 遅咲きの人生』の著者で元・新聞記者の大島信三さんが、取材を重ねた彼ならではの視点で人間・宮尾登美子を語っていく。
※この作品にはカラー写真が含まれます。