色川武大名義のエッセイ集。独自の人生観や生き方が色濃く反映された作品で、色川武大ワールドを堪能できる。
色川武大名義のエッセイ集。彼の独自の人生観や生き方が色濃く反映された単行本『うらおもて人生録』、『私の旧約聖書』他70編の作品で色川武大ワールドを堪能できる。
『うらおもて人生録』は、1983~1984年にかけて、毎日新聞日曜版に連載された著者唯一の全国紙連作作品。自らの生い立ちを「劣等生」と意識した人生観から、主に若者に語りかける著者の“優しいまなざし”に溢れたもので、とりわけ青春時代を賭場でしのいできた経験から生まれた「九勝六敗」の人生論は出色である。
『私の旧訳聖書』は、1984~1986年にかけて雑誌「NEXT」に掲載され、『うらおもて人生録』と地続きな作品として「色川流人生論」の根底をなす。「旧約聖書」は色川の若き頃からの愛読書だったのだ。
その他、遺稿作品集『ばれてもともと』や絶筆となった「好色つれづれ日記」など15編、『戦争育ちの放埒病』から46編、単行本未収録エッセイとして「なぜ別れたのか」等9編も収録。
解説は、詩人で文芸評論家の荒川洋治氏。特別寄稿として、元中央公論社の編集者として色川武大を担当した、作家・村松友視氏が色川との交わりやその思い出を語る。付録として「うらおもて人生録」の生原稿、作家・小川国夫氏の追悼文などを収録する。