伯爵家の末娘・アマリアは、知性の高さゆえに世を疎み、人を見下すことが身についてしまった無気力王子・テオドールの護衛騎士を務めている。しかし、アマリアは知っていた。テオドールが本当は、民や従者のことを愛し、守る優しさをもった優秀な主君であることを。そして繰り返し語られる「きみが私の妻になってくれればいいのに」という戯れに込められた願いを。けれどアマリアにとってテオドールは、愛する男性である前に、命に変えても守るべき大切な主君であった。身分違いの恋を胸に秘め、愛する人をひたむきに守ろうとする少女騎士と、鋭い知性がゆえに心を閉ざしてしまった王子。触れ合うことはできずとも、ずっとこうして共にあるのだと信じていた二人の日常は、テオドールの命を狙う賊により壊されてしまう。命の危機に際し、勇敢な騎士としてアマリアが下した決断は……!?