太陽神、根源神の息吹 大自然と精霊と人が共生する姿。 大らかな「母性の聖地」には神気と精霊が満ちあふれています。観るだけで、読者の心に「祓いと禊」が起こることでしょう。神に選ばれし地、「日本人の魂のふるさと」。ここは今でも、神話が続いています。 はじめに 平成二十二年五月に『太陽と大自然の神々の地、伊勢』を刊行しました。完売絶版後も再版への根強い要望を頂き、このたび二割ほどの写真を刷新して、新版を刊行することになりました。 伊勢神宮と伊勢地方の大自然を中心として写真を見直したのですが、伊勢は「神社と大自然との共生」というテーマが完成して継続している奇蹟の地だと改めて感じました。 伊勢神宮では、神様にお供えするお米、野菜・果物、干した鯛やアワビ、そして神事に最重要である御塩(みしお)も作っています。さらには、神事に使われるすべての土器は、神宮の土器調製所で製造。神様の衣である神御衣(かんみそ)も八尋殿(やひろでん)で機織りしています。 つまり伊勢神宮とは、人間が生きる生活そのもの、衣食住の暮らし全体を、神事として成り立っています。 写真集を再編集するにあたり、この点がやはり凄いことだと、心から深く感じ入りました。このことは、「生活の基本行為=最重要の神事」という大切な基本を私たちに教えてくれています。 伊勢神宮は外界との交流を断ったとしても、神宮内で生活ができる自給自足の原点の型を示しています。これは、これからも日本が継続するための、重要なヒントを神様が示してくださっていると思えてなりません。 前回の写真集と今回の写真集の間には、神宮において二十年間に一度の式年遷宮(しきねんせんぐう)(建て替え立て直し)がおこなわれています。神宮の御宮と伝統習慣が淡々と更新されていくのですが、そこには、いつもと同じ神宮が何事もなかったかのように淡々と継続されている姿がありました。「継続こそは力なり」、これを伊勢神宮と、これを支える伊勢地方に感じます。これからも、自給自足、地産地食の型をこのまま維持して、これが日本全体へ転写する原版となって欲しいものです。 この写真集を通して、伊勢の太陽、海、森林、川、巨石、自給自足の現場、太古から続く自然崇拝の姿を見て頂きたいと思います。 平成三十年 盛夏に記す 伊勢白山道