飯炊き下手な独り身の男ばかりが住み、夕餉どきには飯のこげる匂いが立ちこめるため“おこげ長屋”と呼ばれる浜町堀の裏長屋。元南町奉行所の定町廻り同心・伏木真九郎と、養子縁組をしくじって家を出た御家人の次男・蓮見健吾は、大家の為五郎から用心棒の仕事をもらい、細々と暮らす長屋の住人。ある日、二人のもとに刀傷を負った浪人が転がりこんできた。男は倉内又之助。藩のお家騒動の罠にはまり、脱藩してきたらしい。だがこの又之助、なかなかの剣の遣い手で、度重なる真九郎たちの危地を救うことに…。理不陣な理由でそれぞれの居場所を失った三匹の浪人が、立ち向かう悪の数々。ところが、その背後には又之助を狙う刺客の影が…。痛快時代長編。