庭との対話のうちに、美を追及し続けた美術紀行「日本の庭」ほか、立原が傾倒した中世文化の美の世界を辿る。
「つくった人の美意識がくまなく表出されているかどうかが問題である。十分に表出された庭なら、そこに歳月による自然が作用したにせよ、当初の軸は残っている」庭を、主の美意識が凝縮さてた空間と見つめた立原の透徹した眼差しが浮かび上がる『日本の庭』ほか、骨董を通じ、あくなき美の世界の追及を綴った美術雑編。若き日より書き溜めた詩、短歌を全紹介。また、加藤唐九郎、林屋静三との陶芸をめぐる対談2編も収録し、立原が見つめた美の世界を完全収録。
付録として長女・立原幹氏が父の思い出を綴る「東ケ谷山房 残像 五」や春画ブームの仕掛け人・浦上満氏が語る立原の骨董への眼差しを描いた「李朝白磁の大壺」など関連エッセイ5作収録。特別付録として長男・立原潮氏が上梓した『美のなごり 立原正秋の骨董』より、父・立原正秋の骨董への傾倒を綴った「冬の風 立原正秋覚え書き」を掲載。同時に立原正秋の骨董コレクションの一部を、秋元茂撮影のカラー写真で紹介していく。
※この作品にはカラー写真が含まれます。