名高い観光地でもなく日本らしさが残る地を訪ねる、ゆるい汽車旅。究極の山岳鉄道という夢の構想に向け、苦心の鉄道建設に挑む!
かつて刊行されていた旅行雑誌『旅』の連載紀行をまとめたのが『日本探見二泊三日』である。濃密な鉄道紀行とは趣が異なる筆致で、名所や深山幽谷の秘境ではない普通の観光地を訪れる汽車旅だ。鉄道に加えてバス旅や船旅、徒歩での移動などバラエティーに富んでいる。
『夢の山岳鉄道』は、仮想ダイヤの作成に情熱を傾ける宮脇が、ついに山岳鉄道の建設構想にまで迫った異色の作品。「上高地鉄道」では、鉄道の敷設で環境破壊と鉄道旅の素晴らしさを、線路図と苦心の作の列車ダイヤで山岳鉄道を夢見る。「富士山鉄道・五合目線」は、富士山が世界遺産に登録される20年以上も前に先見の明を著していた。そして具体的な駅や路線図を作成し勾配まで緻密に計算された山岳鉄道建設構想は、宮脇の文学的センスとは別に当初東大理学部地質学科に入学した才能が垣間見てとれる。
付録:宮脇俊三アルバム、連載『最長片道切符の旅』自筆原稿 など2点
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