気が向いたところで途中下車する行き当りばったりの旅と、鉄道も通わぬ僻地へ向かうバス旅。そこには終着駅より鄙びた風情が!
『途中下車の味』は、第4巻に収録された『旅の終りは個室寝台車』の続編的な作品。本書も担当編集者との二人旅が基本だが、前回は担当者がキッチリとスケジュールをたてる予定通りの旅行であったのに対し、「~今回はスケジュールをたてずに、ぶらりと当てずっぽうの旅行をしましょうか」という宮脇の提案。下車駅未定で宿泊地も未定の“万事未定”というコンセプトでの汽車旅が方針となった。最初の一篇では大の松葉ガニ好きの宮脇が山陰へと向かい、その後も汽車に乗ってご当地の名物を食べる旅が繰り広げられる。
『ローカルバスの終点へ』は、あとがきに《ローカル鉄道の終着駅で引返すとき、その先へと発車して行くバスを指をくわえて眺めた》とあるように、鉄道よりいっそう鄙びたローカルバスの終点に惹かれた宮脇ならではのバス紀行である。北海道から沖縄まで、山間部の尾根道や海辺に沿って入江や岬をたどるバスに乗ってめざす終点は、鉄道の終着駅とは違った雰囲気を漂わせ、宮脇のさらなる紀行文学の冴えを見せている。
付録:宮脇俊三アルバム、連載『最長片道切符の旅』自筆原稿 など2点
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