身重の篠が里帰りしたため、浅草東本願寺裏の自宅でひとり暮らしになってしまった神谷平蔵。
久しぶりの独り身を満喫できるかと思いきや、おりからの長雨に体調をくずした蛇骨長屋の住人たちの診療に追われ、羽根をのばすこともままならない日々だった。
だが、つかのまの平穏は、またしても平蔵をねらう剣客に破られる。夜道、突如襲ってきた鬼牡丹の紋の剣士と刃を交え、平蔵は深傷を負ってしまったのだ。
相手は昨年、平蔵が深川十万坪で斃した水無月藩士・鉢谷甚之介の義弟・真柄源之丞だった。
傷を癒し、ふたたび源之丞と相まみえる平蔵。不条理な闇路に翻弄される剣士を何が待つ?
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