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本書は、1955年前後から現在までを扱っている。占領期を脱した日本人は、まずはひたすらに「物の豊かさ」を求めた。質より量、そしてスピードが問われる時代の始まりであった。それは私たち日本人が主体的に選んだ道だが、高度経済成長に象徴される経済的な「豊かさ」の達成過程は、産業・生活・文化・自然環境などあらゆる面で、大きな変容を引き起こした。そして変容がもたらした社会の歪みや矛盾は、特定の人々や地域へのしわよせとして現れることになる。本書は、そのしわよせを強いられた存在としての「女性」「農漁業」「沖縄」などに注目しながら、私たちはみずから何を選び、何を失ってきたのかを、社会的側面を中心にみていく。