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近世の身分制社会では、治者は被治者に、富者は貧者に「仁政」や「徳義」を施すことを求められた。庶民は政治に参画できない反面、戦は侍がするものと傍観者でいることができた。だが、四民平等の名のもと、明治新政府はこうした庶民の「客分意識」に容赦なく改変を加えていく。勤勉で忠実な近代日本人は、どのようにして生産されたのか。京町人ですら「お世話になった覚えのない」天皇が、やがて、国民にバンザイの唱和で迎えられるようになるのはなぜか。「亜細亜の盟主日本」というエリート意識は、いかにして醸成されていったか。「復古」と「開化」をキーワードに、幕末から明治時代前半の世相を庶民の目線で読み解く。