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幕府が開かれ100年が過ぎ、成熟したかにみえた18世紀の江戸社会。しかし、相次ぐ地震・火災・水害・旱魃・飢饉に人びとは動揺する。「公儀」の名において復興や救済を行なう幕府も財政がひっ迫し、思うように統治力を行使できない。いっぽうで民間に蓄えられた「知」の力が、幕府や藩に取り込まれたり、地域のリーダーとして活躍の場をひろげはじめる。統治者と非統治者が真向かい、せめぎ合うなかで、獲得される知恵や工夫が次の時代への力となり蓄積されていく。転換期を迎えた江戸時代の、人びとが生きぬこうとする姿を多彩な史料からときおこす。