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「鎌倉幕府を倒せ」。東国の武家政権に対して、京都では強烈な個性をもった後醍醐天皇が即位した。世は「悪党」の時代。彼らの行動は大きなうねりとなって、幕府を崩壊に追いやる。足利氏があらためて京都に開いた室町幕府は、内乱期の社会をにぎやかに彩る「婆娑羅」のエネルギーを巧みに取り込み、公家たちをも吸収していく。しかし、その基盤はもろく、やがて求心力を失い、下剋上の世が到来する。一方、能・狂言をはじめとする芸能や、禅宗、「わび・さび」といった美意識など、日本文化を代表するものを生みはぐくんだこの社会には、広く「庶民」の参加がみられた。視点をできるだけ低く、地方にも目を配りながら、南北朝・室町時代を再構成した。