39歳で夭折した作家晩年の未完小説『黄昏の橋』『白く塗りたる墓』「もう一つの絆」に遺稿「遥かなる美の国」等を収録。
39歳で夭折した高橋和巳晩年の小説『黄昏の橋』『白く塗りたる墓』「もう一つの絆」(いずれも未完)に加え、遺稿として「遥かなる美の国」、「清角の音」「他者の古里」等を収録する。
『黄昏の橋』は雑誌「現代の眼」1968年10月~1970年2月にかけ連載された未完作品。
古美術世界に沈潜する学芸員・時枝が、偶然、機動隊と学生の衝突で一人の学生が橋から転落するのを偶然目撃し、封印されそうな事件の深層に迫っていくという当時の世相を反映した作品。
続く『白く塗りたる墓』は、開高健や柴田翔らと共同編集した、季刊「人間として」創刊号(1970年3月)に発表された。
内容はテレビ局を舞台にした作品で、第一部完のまま、続きを描かれることがなかった最後の小説である。
「もう一つの絆」は「群像」1967年9月号に発表され、第一部第五章まで書かれた未完作品。
遺稿として、小説の断片である「遥かなる美の国」、「清角の音」「他者の古里」も収録。
解説は、芥川賞作家・高城修三氏が務め、解題は和己巻の監修者を務める作家・太田代志朗氏が担当。
付録として「白く塗りたる墓」「遥かなる美の国」、「清角の音」「他者の古里」の生原稿等を掲載する。
※この作品は一部カラー写真が含まれます。