高橋たか子の初期作品集『彼方の水音』『骨の城』『双面』『共生空間』と、最初の長編『空の果てまで』を収録した一巻。
1971年から1973年にかけて発売された小説集『彼方の水音』『骨の城』『双面』『共生空間』に加え、書き下ろし長編小説『空の果てまで』を収録する。
『彼方の水音』は高橋たか子が1971年8月、39歳の時に刊行された第1小説集で、実質的な文壇デビュー作「子供さま」(1969年「群像」7月号初出)等の5編の短編を収録。
『骨の城』は同人誌「白描」に掲載された「白夜」など、主に60年代に描かれた習作10編からなる。
続く『双面』は表題作等3編の短編集、『共生空間』は「螺旋階段」等5編からなる短編集。
長編『空の果てまで』(1973年2月刊)は、たか子にとって初の長編小説。
「悪こそは 人間を超えたものが不可能な顔をのぞかせる。
人間の唯一の場だからかそんな情念を秘めた女の反省をこの小説で描いてみた」とたか子が述べるとおり、“人間の悪”を描き、第13回田村俊子賞を受賞した代表作の一つ。
当時、新進気鋭の“内向の世代”の作家の一人として注目を浴びていた。
解説と解題は、生前のたか子と交流のあった文芸評論家・山内由紀人氏が担当。
付録として、収録した作品の単行本初刊の表紙などを掲載する。
※この作品は一部、カラー写真が含まれます。