商家の離れ座敷に居候し、江戸の町で暮らす謎の侍、松平通春。
すらりとした長身、品のある面差し、威厳がありつつも春風のように優しげなたたずまいは、いかにもただものではない雰囲気を醸しだしていたが、それもしのはず、この通春こそ尾張徳川家の跡継ぎ、葵の一門につらなる若殿さまであった。
小姓の星野藤馬を引きつれ、江戸の市井にくだってきた通春は、将軍吉宗からある密命を受けていた。目安箱に寄せられた厄介な難問や事件、頼み事を、庶民の側に立って独自に解決してほしいという、いわば『民のための世直し』である。後世、尾張の名君として名を上げる若き徳川宗春の活躍!大好評の第二弾!