たった一年前まで、旗本家の冷飯食いの四男坊でしかなかった峰近香四郎は、出世を重ね、今や都の公卿家から正室を迎える身となっていた。
だが、武州からの検分を終え江戸に戻ると、屋敷が府内から離れた中野村に移されていた。すわ、御家は都落ちか──!?
そんな香四郎を待っていたのは、海岸防禦御用掛に任ず、という新たな下命であった。やはり左遷であったのか……。
しかし江戸っ子侍は、時世の表舞台に立てるという気力と喜びを得て、意気揚々と任地へと向かう。
そして、葵紋が刻まれた妖刀村正を手に、国防の最前線の荒波と風を切り裂くのであった!
波乱の人生に翻弄されながら、国の未来を憂い、幕命に身命を賭す若侍の出世譚、好評の第六弾!!