万葉集が事件の鍵を握る!シリーズ第2弾。
日本橋の油問屋、伊勢屋のひとり娘しづ子は、和歌を好み賀茂真淵の弟子である。しづ子が小僧の助松と賀茂真淵の家を訪れると、昨晩泥棒に入られたところだった。真淵が、武家の子息である加藤千蔭と二人に打ち明けたのは、万葉集を狙ったのではという。三日前、将軍家重の弟、田安宗武に講義をした際、別の万葉集を持ち帰ってしまったというのだ。
数日後、葛木多陽人、しづ子、助松と真淵の家に行くと、再び泥棒が入って間違えて持ち帰った万葉集だけが盗まれたという。驚くべきことに、多陽人は前もって真淵と相談し、賊の企みを考えてその万葉集を目につきやすいところに移していた。その万葉集巻三と巻十四には、あわせて十二首が、ひらがなだけで書かれていて、それに干支と大字、漢数字だけが記された三行の符牒が残されていた。
後日、多陽人の元に田沼意次という幕臣がやって来る。田沼が仕える大岡主膳を占うと、何者かに呪詛されていることがわかる。さらには、助松の父大五郎が行方不明に……。
万葉集に残された歌と符牒の謎を解き明かすと、幕府を揺るがす大きな陰謀が浮かんで来た。そして、大五郎を攫った人物は!?好評シリーズ第2弾!